ベーゼンドルファーってどういうものなの?
ちゃんと違いが分かるようになりたい!
特にピアニッシモを表現するのに優れていると言われているよ。
特徴を掴めば、他ふたつとの違いも明確に理解できるよ!
◆ ベーゼンドルファーの歴史
ベーゼンドルファーは、スタインウェイ、ベヒシュタインと並び「世界三大ピアノ」のひとつと言われています。
ですが、その特徴や違いをパッと表現できないな…という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ベーゼンドルファーの特徴を要点にまとめ、わかりやすく解説します。
キーワードは「ウィンナートーン」。この言葉の意味さえ掴んでしまえば、あなたもベーゼンドルファーを自信持ってご紹介できるでしょう。
代表的なピアノ
ベーゼンドルファーの特徴
ベヒシュタインは「ドイツ」
スタインウェイは「アメリカ」
そしてベーゼンドルファーは「オーストリア」の至宝です。
ウィンナートーン
この記事1番大切なキーワード。これだけでも覚えて帰ってください。
ベーゼンドルファーの持つ音色は「ウィンナートーン」と呼ばれ、他のどのピアノにも表現できない、唯一無二の多彩な響きをしています。
オーストリアの首都であるウィーンから、「ウィーンの響き」という意味ですね。
具体的な特徴は以下の3つです。
- 芳醇なピアニッシモ
- 徹底的に木の響きにこだわる
- 弦の張り方が「1本掛け」
それではひとつずつ解説していきます。
1. 芳醇なピアニッシモ
ベーゼンドルファーは創業時から一貫して、このスローガンを掲げてきました。
小さな音より、大きな音の方が目立ちますよね。
だからこそこの特徴の凄さがあります。
大きな音(フォルテッシモ)には、それだけで迫力があります。
どんな楽器を以てしても、圧倒されるだけの響きを感じられるでしょう。
ですが反対に、ピアニッシモはいかがでしょうか。
「小さな音なのに豊かな音色」と言われて、簡単にイメージできる方は少ないはず。
ベーゼンドルファーはそんな、唯一無二の響きを持っています。
優しさ、柔らかさ、芳醇さ、脳の芯にまで響くようなまっすぐな音色…
これらはあくまで私の主観ですが、それくらいたくさんの感想を持たせる響きを持っているのです。
2. 徹底的に木の響きにこだわる
時代背景として、ピアノ制作技術が進むのに比例して、コンサート会場が大きくなっていったというものがあります。
初めは家庭で鳴らすことができたら十分だったものが、最終的には数千人単位の集客ができるホールをカバーする音量が求められていったのです。
この問題は金属フレームにすることで容易に解決するのですが、金属には出せない音色というものが、木にはあります。
別名「シンキングトーン」とも呼ばれています。
ベーゼンドルファーは木が持つ音色にこだわり、材料である木材の取り扱い方も徹底していました。
具体的には、
- 保管や加工など、いかなる工程の際にも、とにかくストレスがかからないようにする
- 木材の自然乾燥時間を含め、オーダーから6年かかる徹底ぶり
まだまだたっくさんあるので、興味のある方は突っ込んで調べてみるのもありです。
ここでは「徹底的に木の響きにこだわる」という情報だけ伝わってほしいので、それ以上は省略しています。
例えば品種の選定、乾燥工程、作業工程…
途方もない手間をかけるからこそ、ベーゼンドルファーのみが表現することのできる、ウィンナートーンなのです。
3. 弦の張り方が「1本掛け」
通常ピアノの弦を張るときは、長いものを折り返し、実質2本の状態になっています。
当然隣り合う弦の距離感が近くなるため、違う音色の弦が共鳴に使われます。
ですが、ベーゼンドルファーにはそれがありません。
折り返さないが故の「1本掛け」です。
1本掛けにし、違う音色の弦を共鳴に使わないからこそ、よりピュアな音色を表現しています。
周波数レベルの話にはなりますが、違和感を感じさせない造りだからこそ、「分からないけど分かる」違いが表現されています。
ベーゼンドルファーの歴史
特にリストのエピソードが有名です。
当時リストの激しい演奏に耐えられるピアノは少なく、その中でもベヒシュタインとベーゼンドルファーが耐え切っています。
リスト曰く「ベーゼンドルファーの完成度の高さは、私の最も激しい要求さえ超えている」
こんな言葉を残すほどです。
経営の歴史
強いこだわりを持つベーゼンドルファーだからこそ、年間の製造台数は数百台程度、現在流通しているピアノも5万台程度と言われています。(ヤマハは日本国内だけで600万台以上)
最高級品質のピアノといえど、そもそもの販売台数が少ないのと、大戦の影響もあり、経営は順風満帆とはいかないものでした。
20世紀に入ると、ヤマハに買収されます。
ですがここで一気にヤマハ色になることはなく、敢えて技術者同士の交流を断つことで、お互いのブランド独自性を維持してきました。
ヤマハとはいい意味で協力関係を保ちながら、現在もたくさんの方に支持されるブランドとなっているのです。
ベーゼンドルファーまとめ
おさらいです。
◆ ベーゼンドルファーの歴史
- オーストリアの至宝
- ウィンナートーンと呼ばれる唯一無二の響き「オーケストラを思わせる多彩な音色」
- 「ピアニッシモこそが人々の心を惹きつける」
- 材料である木材に徹底的にこだわっているからこそ表現される「シンキングトーン」
- 弦の張り方が1本掛けなのもベーゼンドルファーのみで、非常にピュアな音色
- 現在はヤマハ傘下も、独自のブランド性を展開
ベーゼンドルファーのお話でした。
これで他の世界三大ピアノである、スタインウェイやベヒシュタインとの違いもバッチリですね。
手に入れるためには、6年という時間をかける必要があります。
しかしそれだけの価値を、世界中が認めているのです。すごいことですよね。
もう一度、ベーゼンドルファーの代表的なピアノを置いておきます。
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